掲示板


みなさんのご意見をお待ちしております

この学習指導案は、「あなどるな数学 数量編」で扱ったテーマをもとに、中学校3年生の「選択」での授業を想定して学習指導案を大学生がつくったものです。

第3学年 数学科学習指導案

3学年選択 数学科学習指導案

 

T 題材  不等式

 

U 目標

1. 不等式を知り、その中に使われている文字や解の意味を、方程式の中の文字や解の意味と対比させながら、統一的に理解できるようにする。

2. 不等式の性質を等式の性質と対比させながら理解できるようにする。特に、負の数を掛けるときや負の数で割るときは、不等号の向きが変わることを理解できるようにする。

3. 不等式の性質をもとにして、不等式の解を能率的に求めることができるようにする。その際、方程式を解く手順と対比させながら、不等式の形質的な解法を把握できるようにする。

4. 不等式を活用して、具体的な問題を解決することができるようにする。

 

V 指導にあたって

1.教材観

小学校において、等号や不等号を用い、ある関係を式にしたり、表や数直線に表したりした。また、中学校第1学年では、方程式の意味について「等式の性質」を用いて方程式の解を能率よく求めることを学習してきた。本題材では既習の方程式に習って不等式に導入していく。

 表や等式の性質を用いて式を組み立てていくことから始め、不等式の性質を用いて式を計算させ解を求めさせる。不等式は、既習の方程式と対比した形で統合的にとらえることができ、方程式との類似点や相違点が明確になる教材である。また、方程式よりも不等式の方が日常生活で活用されており、数学的考え方を生かすことができる身近な教材だと思われる。

基礎を身に着けることで、以降に学ぶ二次方程式の発展となる二次不等式においても不等式の性質を用いて同様に解くことが可能になる。

 

2.生徒観

表の作成については方程式において学んだ。その際は与えられた式を元に表を作成したが、不等式においては最初表を元に式を立てることが要求される。初めは戸惑う生徒が多いと思うが、例題を示したり、多くの表に触れたりすることで式を立てられるようになると予想される。

表を多く取り入れたり、電卓を使用して複雑な式を解いたりすることで生徒も楽しんで学ぶことが出来る。答えが1つでないので、様々な値を変数に代入して試行錯誤して答えを求めていく過程を意欲的に取り組む生徒も多いのではないかと考える。

不等式の計算では、負の数を足したり引いたりしたときは、不等号の向きが変化しないが、負の数を掛けたり割ったりしたときは、不等号の向きが逆になってしまう。この性質の理解に苦しむ生徒がでてくる可能性もある。

文章問題では、簡単な問題からスタートし、少しずつ自分で不等式を考え出すようになるのではないかと考えている。しかし、最近の子供たちは自ら考えるという力に欠けているため、読解して自ら不等式を立てるということに苦痛を感じる生徒もいると思われる。

 

3.指導観

同じような問題であっても、一部の数値を変えるだけで全く異なる結果が出てくるような問題を与える。生徒の『なぜ?』という気持ちを起こさせ、問題を解き進める意欲を高めさせる。

文章問題だけではなく、図から式を立てさせる問題を与えることで飽きさせず、生徒のやる気を持続させる。変数が変わったらどうなるかという発問を増やし、考える力を養い頭で表をイメージできるようにさせることで基礎の定着を図る。

「不等式の性質」を用いて、能率よく解を求められ、手順よく解くことができるように留意して指導する。求まった解を数直線で表すなどして、具体的に理解してもらうようにする。

さらに、不等式の応用問題への抵抗を少なくするために、日常生活から場面を設定し、不等式を利用することより不等式の有効性を感じることができるように配慮する。ただ、文章だけでは理解しづらい文章も多いので、実際に図や絵を描いてヒントを与え、場面を想定させる。そこから自らの力で不等式を完成させるように配慮する。どのような場合が答えとなるのかもきちんと納得させる。

 

 

 

 

 

W 学習計画

学習活動(時数)

☆目指す生徒の姿 ○教師の手立て

1.与えられた問より変数を1つ含む不等式を立てさせ、解を求めさせる。 (2)

 

第一時 不等式の導入

第二時 不等式の発展

 

 

 

☆過去に習った一次式で式を立てる。

☆一次式で解を求める。

○不等号の復習をする。

☆問題文の中の言葉に注意し、不等号を使った式を立てることが出来ることに気付く。

☆一次式を不等式に直す。

○表を作って解を求めるように誘導する。

☆求めた解が、一次式で求めた場合の解とどのように違うか比較する。

2.不等式の性質を導き、その性質を使って、実際に不等式を解いてみる。 (3)

 

第一時 不等式の性質

第二時 不等式の計算

第三時 不等式の文章問題

 

 

 

 

 

 

 

 

☆実際の数字を使い、不等式の性質を導くことが出来る。

☆負の数を掛けたり割ったりするときの不等号の向きの変化を理解している。

 ○大小関係を数直線に表すことで、目で大小関係を確認できるようにする。

☆不等式の性質を使えば、等式の性質と同じような計算方法で不等式を解くことが出来るということを理解している。

 ○様々な不等式の計算問題を解かせ、不等式の解の求め方を身につけさせる。

☆文章を読み取り、自分の力で不等式を作り出し、解を求めることが出来る。

☆求めた解から、文章に当てはまる解だけをその問題の答えとして表現できる。

 

 

 

 

 

 

X 本時の学習

1時間目 不等式の導入

 

時間配分

指導内容

留意点

導入

10

 

 

 

 

 

問題1(1) 150円の切符を買おうとしている。券売機に50円玉を投入した状態からいくら入れれば買うことが出来るか。ただし10円玉・50円玉・100円玉・500円玉・1000円札を各1枚所持しているとする。

 

  150 = 50 + x

   ⇒ x = 100  ∴100円玉を投入する

 

○一次式の復習。恒等式を各自立てさせる。

○他の硬貨やお札を入れた場合はどうなるか考えさせる。

展開

25

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○表の作成

上記問において各硬貨・お札を投入した場合の表を作成する。

問題1(2) 次の表を完成させよ。

  また完成した表を見ていくら入れたときに切符を買うことが出来るか考えてみよ。

       X

     x + 50

       10

      ( 60 )

       50

     ( 100 )

      100

     ( 150 )

      500

     ( 600 )

     1000

    ( 1050 )

 

x + 50 の部分を空白にした表を配布し記入させる。この表を見て切符を買うための条件は x + 50 150円より大きくなった時である。それはx100円、500円、1000円の場合であることがわかる。

ノートを1行空けておくように言う。

 

問題2 底辺の長さが3p、高さがx p の三角形がある。この三角形の面積が6p2 以上になるようなxはいくつか。

 

一次式を立てて求めようとすると

  3×x÷2 = 6

       x = 4

しかし答えは4だけだろうか。

表を作成してみる。

    X

  (3×x÷2)

   ( 1 )

 ( 3/2 = 1.5 )

   ( 2 )

   ( 3 )

   ( 3 )

 ( 9/2 = 4.5 )

   ( 4 )

( 6 )

   ( 5 )

  ( 15/2 = 7.5 )

   ( 6 )

      ( 9 )

表より x = 4, 5, 6

ノートを1行空けておくように言う。

 

○不等号の復習

『以上』や『未満』は記号を使って表すことができる。どのような記号を使ったか思い出させる。

 ≦・≧ 以上、以下(その値を含む)

<・> 〜より大きい、〜より小さい(未満)

    (その値を含まない)

 

例題1 上記の問1、問2の答え不等号使って表すとどうなるか。

問題1 

100円・500円・1000円の時に買うことができたからx100円より大きくて1000円より小さい。これ不等号用いて表すと

⇒ 100 x 1000 

問題2 

表ではx = 4, 5, 6である。しかし7以降の表を作成してみるとその面積は6p2 を越えるので答えは4より大きい数字になる。これ不等号用いて表すと

⇒ x 4 

この答えを先ほど空けておいたノートに書き込むよう指示する。

 

 

 

x 100以上の時に買うことが出来る。「以上という言葉が出てくるように誘導する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○まずは自由に求めさせる。

○問題文をよく読むよう指示し、「6p2以上」の部分に着目させる。

○つまずいている生徒には目で見て理解できるように表を作成するよう促す。

○表の例ではxの値域を1 x 6 としているが予想を立てて他の数字から求めている生徒がいないか見て回る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

課題

10

 

 

 

 

 

 

○不等号を用いた不等式の作り方

問題3  問題1問題2の問題不等号使った式で表せ。

 

 問1 50 + x 150 

 問2 3×x÷2 6 

 

問題4 

xgおよび8gのおもりがある。

図を見て不等号を使った式を求めなさい。

 

 3×x x + 8

 

○宿題

問題4の不等式 3×x x + 8 を満たすようなxを求めよ。

 

○問題文に以上以下大きい小さいという言葉がないか探させる。ない場合は表から読み取ることが出来るかどうか聞く。

○秤の右腕および左腕を一次式に直せるか。どちらの方が重いかをちゃんと判断させる。

○不等号は≦でも可だが、<になっているのが望ましい。それはなぜだか考えさせる。

⇒右腕(x + 8)の方が左腕(3×x)より重いため。

まとめ

5

 

 

 

 

○不等式では解が1つとは限らない。複数個または不等号を用いて多数になる。

○問題文の条件をしっかり読み取れるようになること。

○表を読み取りそこから解を求められるようになること。

 

 

2時間目 不等式の発展】

 

時間配分

指導内容

留意点

導入

5

 

 

 

 

 

 

 

○宿題の回答

問題1 3×x x + 8を満たすようなxを求めよ。

 

  x

  3×x

  x + 8

    1

      3

     9

    2

      6

    10

    3

      9

    11

    4

     12

    12

    5

     15

    13

    6

     18

    14

表より与式を満たすx

 x = 1, 2, 3

これ不等号用いて表すと

 1 x 3 or 1 x 4

 

○不等号に = はついていないので4は入らない。このことに注意して答えられたか確認する。

展開

25

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○競馬の配当金

例題1 1100円の馬券を100人の人が1枚ずつ購入した。このうち当たりの馬券は1枚であった。配当金を総売上の75% とするとこの馬券を購入した人はいくらの利益を得ることが出来るか。

 

下表を用いて説明を進める。

総売上

100円×100 = 10000

配当金

(10000円×0.75)÷1 = 7500

利益

7500– 100 = 7400

 

総売上。100円の馬券が100枚売れたのだから 総売上は

100円×100 = 10000

配当金。総売上の中から決められた割合で与えられる賞金のことである。この場合割合は75%なので、配当金は

 ⇒ (10000円×0.75)÷1 = 7500

よって利益は

 ⇒7500 – 100 = 7400

  ∴利益 = 7400円 

 

配当金の部分で÷1をしたのは配当金を山分けできる馬券の枚数であり、1枚あたりの配当金を求めるために行った。利益は純粋な利益と考えて購入金額を引く。

この例題1を発展させていく。

 

問題2 例題1で当たりの馬券を購入した人がもう1枚同じ馬券を買っていたとするとこの人の利益はいくらになるか。

 

総売上

100円×(101) = (10100)

1枚当たりの配当金

{(10100)円×0.75}÷(2) = (3787.5)

もらえる配当金

(3787.5)円×2 = (7575)

利益

(7575)– (200) = (7375)

数字の部分が空白の表を配布し完成させる。

∴利益 = 7375円 

 

もらえる配当金の金額は少しではあるがあがっていた。しかし利益は1枚購入した時よりも少なくなっている。実は購入する枚数を増やしていくとその分利益は減ってしまう。なぜなのだろうか。

100円多く払ってもう1枚購入しても、増える配当金の額は75円である。この時点で購入した馬券が当たっても25円損していることになり、購入する馬券を増やすごとに25円ずつ損することになる。

しかしこのケースは1人の人が当たり馬券を複数購入した場合に限る。

 

例題2 1100円の馬券を10万人の人が1枚ずつ購入した。このうち当たりの馬券は7万枚であった。配当金を総売上の75% とするとこの馬券を購入した人たちはいくらの利益を得ることが出来るか。

 

総売上

100円×10万枚 = 1000万円

配当金

{10000万円×0.75}÷70万枚 107

利益

107 – 100 = 7円 

 

実はこの問では問1のようにある人が当たり馬券をもう1枚購入したとすると利益は問1とは異なった値になる。

 

問題3 問題2において、ある人がもう1枚当たり馬券を購入していた場合、この人の利益はいくらになるか。

 

∴利益 = 14円 

 

○随時「配当金」や「利益」などの言葉の補足を行う。

 

 

 

 

○配当金の部分でなぜ÷1をしたのか考えさせる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○答えを求める前に生徒に予想を立てさせる。単純に2倍と考える生徒がいたらこの問は有効的である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

課題

15

 

 

 

 

 

 

問題4 例題2のように馬券を追加して購入した場合、配当金が107円であるのは何枚までか。この問は電卓の使用を可とする。

 

xを追加して買った馬券の枚数とすると

 [{100×(100000 + x)}×0.75]

÷(70000 + x) 107

この式を満たすx

   x 312 or x 313 

 

※不等号(≦・<)の使い分けが正しく出来ているかを確認する。

 

xを用いた式を立てさせる。

○少し複雑な式になるためつまずいている生徒には1枚追加して買ったとき、2枚追加して買ったとき……と増やしていったときの式のどの部分が変わっていくか、すなわち変数がなにかを見つけさせる。

まとめ

5

 

 

 

 

○難しそうに見える問題でも式を立てることが出来れば解を求めることができる。問題文を省かずに1過程ずつ丁寧に式を組み立てる。そして変数をどこに置くかを見定める。

○問3のように表を用いて解を求める方法もあるが前回の授業で扱った不等式からxを求めることも出来ることを次回から示す。

○上記問において配当金が106円の場合だとxはいくつになるかなど、値を変えてやってみるよう促す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3時間目 不等式の性質】

 

 

時間配分

指導内容

留意点

導入

5

 

 

 

 

方程式50x150502x150を解いてみよう。答えは、

50x150      502x150

x15050       2x15050

      x100           2x100

                         x50

方程式と同じようにして、不等式50x150502x150を解いてみよう。

同じように計算すると、答えは、

50x150      502x150

x15050       2x15050

      x100           2x100

                         x50

これで不等式の答えのできあがり!!

○方程式の計算方法は知っているはずなので、方程式で出答えをださせてみる。

○方程式で解けたところで、今度は不等号を使って同じように解かせてみる。

 

展開

30

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『不等式の性質』

方程式では、等式の性質をもとにして、その解き方を考えたが、不等式についても、等式の性質と同じようなことがいえるのか。調べてみる。

 

○不等式の足し算

まずは、36を数直線に表す。

  3     6

──┼────┼───

この36にそれぞれ2を足してみる。

3262

計算すると、

58

計算結果を数直線に表す。

3 5  6  8

────┼────┼─────── 

この不等式は成り立つことがわかる。

ここで、36abに置き換えてみる。

a2b2

次に2m(0)に置き換えてみる。

ambm

このことから、足し算の場合、

ab m0ならば、

ambm

が成り立つ。

 

※ここから先は、生徒にも一緒に考えてもらい、指して答えてもらったりする。

○不等式の引き算

足し算のときと同様にして、

ab m0ならば、

    ambm

が成り立つ。

 

○不等式の掛け算(正の数)

3636にそれぞれ正の数2をかけてみる。

3×26×2

計算すると、

612

計算結果を数直線に表す。

3 6

6 →→ 12

────┼───┼──────── 

この不等式は成り立つことがわかる。

ここで、同様に36abに、正の数2を正の数m(0)に置き換えてみると、

abm0ならば、

a×mb×m

が成り立つ。

 

○不等式の割り算(正の数)

掛け算のときと同様。

正の数2で割ることは、正の数12を掛けることと同じと考える。

ab m0ならば、

ambm

が成り立つ。

 

○不等式の掛け算(負の数)

今度は、3636にそれぞれ負の数2をかけてみる。

3×(2)6×(2)

計算すると、

6<−12

計算結果を数直線に表す。

6 ←←←←← 3

12 ←←←←←←←←←←← 6

─────┼────────┼───┼ 

この−6<−12という不等式は成り立たない。数直線から、−6より−12の方が小さいことがわかる。不等号を使って正しく表しなおすと、

612

このことから、36abに、負の数−2を負の数m(0)に置き換えてみると、

abm0ならば、不等号の向きが逆になることに注意して、

a×mb×m

成り立つ。

 

○不等式の割り算(負の数)

掛け算のときと同様。

負の数−2で割るとことは、負の数−12を掛けることと同じと考える。

ab m0ならば、

最初の不等式が成り立たないことがわかる。このことから、

abm0ならば、

amb/m

が成り立つ。

 

このように、正の数と違って負の数を掛けたり割ったりすると、最初の大小関係が反対になってしまう。

 

☆不等式の性質☆

abならば、

@ambm

Aambm

B・m0のとき

m×am×b

ambm

m0のとき

m×am×b

ambm

○等式の性質を確認しながら、不等式でも同じ性質が使えるかを、実際の数字を使って具体的に大小関係を比較する。

○いくつかの数字を使っていろいろな場合を考えてもらう。

○まずは、正の数の等式を考えさせ、等式と同じような性質が成り立つことを教える。

○負の数になると、必ずしも等式と同じような性質にならないことを教え、不等号の向きに注意させる。

○実際に負の数を掛けたときと割たときの結果を数直線で表し、目で見て結果を確認してもらう。

○数字を文字に置き換えて、一般的に成り立つ場合を考え、不等式の性質を考えてみる。

○ただ講義として教えるのだと、生徒は退屈してしまうので、考える時間や答えさせる時間をとってみる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○ここからは負の数に入り、不等号の向きが変わるとても重要なところなので、生徒に注意を払いながらきちんと理解させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

課題

12

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

問題1  abのとき、次の□の中に不等号を書き入れて、大小関係を示しなさい。

(1)a3b3

(2)a7b7

(3)4a4b

(4)5a□−5b

(5)a3b3

(6)a6□−b6

 

問題2  次のような大小関係があるとき、abの大小をいいなさい。

(1)a3b3

(2)a4b4

(3)8a<−8b

(4)a9>−b9

○不等式の性質が理解できているかを確認。

 

 

 

 

 

○逆に、与えられている式から、もとのabの大小関係を考えてみる。

まとめ

3

 

 

○不等式の性質は、等式のときの性質とあまり変わらない。

     負の数を掛けたときと割ったときは、

不等号の向きは反対になる。

 

4時間目 不等式の計算】

 

 

時間配分

指導内容

留意点

導入

3

 

 

 

 

 

○ノートを確認して前回の不等式の性質をもう一度挙げてみる。

 

○負の数を掛けるときと割るときには不等号の向きが逆になるということをもう一度確認。

展開

30

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『不等式の計算』

〔等号を含まない不等式〕

不等式の性質を使って、実際に不等式を解いてみる。

 

例題1

    x37

これにあてはまるxの値を考える。

 

不等式の性質より、両辺に3を足しても、不等号の向きは変わらないから、

    x33<73

          x10

つまり、求めるxの値は、10より小さい数である。数直線に表すと、

          0          10

───────────────

よって、不等式の解全体は、赤い部分。

この解全体不等号使って表すと、

         x10

となる。

不等式でも移項は使えるので移項を使って解いてみると、

         x37

             x73

            x10

 

例題2

       2x418

これにあてはまるxの値を考える。

 

不等式の性質より、両辺から4を引いても、不等号の向きは変わらないから、

     2x44184

2x14    

次に、両辺を負の数2で割る。

不等式の性質より、負の数で割ると不等号の向きが変わることに注意すると、

      2x÷(2)14÷(2)

x7

つまり、求めるxの値は、−7より大きい数の全てである。数直線に表すと、

         7      0

─────○───────┼──

これも移項を使って計算することができ、不等号の向きに注意して計算すると、

    −2x418

2x184

2x14

  x7

問題1

次の不等式を解きなさい。また、xの範囲を数直線で表せ。

(1)x14

(2)3x2x5

(3)3x813

(4)5x12x17

 

 

 

 

〔等号を含む不等式〕

基本的に等号を含まない場合と同じ。

 

例題3

      3x75x1

これにあてはまるxの値を考える。

 

等号がつかないときと同様に移項を使って計算する。

      3x5x≦−17

        2x≦−8

           x4 

つまり、求めるxの値は、4以上の数の全てである。数直線に表すと、

          0     4

────────●───────

 

問題2

次の不等式を解きなさい。また、xの範囲を数直線で表せ。

(1)3x57x1

(2)x392x

(3)9x74x3

(4)413x285x

 

 

 

 

 

不等式の性質を使ってxの答えを導く。

○この例題では、10xの答えに含まれないことに注意する。

○数直線に表したとき、10のところは白丸で書き、含まれないという意味を持つことを理解させる。

○等式でも使っていた移項は、不等式でも使えることを理解させる。

 

○負の数を掛けるときと割るときは、不等号の向きが反対になることに注意させる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○不等式の問題を実際に解いて理解を深める。

xの範囲を数直線に表すことで、xがどのような範囲を示しているのかを確認する。

 

 

 

 

○今度は等号を含む不等式の計算だが、等号が含まれないときと基本的に変わらないことを理解させる。

○等号がつくと、xは求めた答えも含むことを教える。

○数直線に表したとき、4のところは黒丸でぬりつぶし、含まれるという意味を持つことを理解させる。

○等号がつくのとつかないとでは、xの解がどう違うのかをきちんと把握させる。

課題

15

 

 

 

 

 

 

問題3

次の不等式を解きなさい。

(1)4x9>−3

(2)x83x

(3)52xx10

(4)2x7<−3x2

(5)46x2x9

(6)3(2x1)4x3

(7)x15(x1)

(8)(25)x35

○さまざまな不等式を解かせて、計算方法をマスターさせる。

 

まとめ

2

 

 

 

 

○不等式の性質を使えば、等式のような計算ができる。

○等号がついてもつかなくても計算のしかたは変わらないが、求まった解がxに含まれるか含まれないかは、等号の有無に関係する。

○不等式の計算方法、数直線の表し方をきちんと理解させ、次の時間につなげる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5時間目 不等式の文章問題】

 

 

時間配分

指導内容

留意点

導入

5

 

 

 

 

 

 

 

○まずは簡単な問題を考えてもらう。

1000円持って買い物にいった。100円のガムを1コと150円のチョコレートを何本か買った。チョコレートは何個まで買えるか。

100150x1000

 

このような不等式が成り立つということを図や絵を描いて生徒にわかりやすく理解させ、実際に解いてみる。

○お菓子を用いることで生徒の興味をひく。

○まずは、不等式を使わなくてもいいから生徒に答えを考えてもらう。

○答えがでたところで不等式に直し、答えを導く。

展開

23

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『不等式を使った文章問題』

計算方法を理解したところで、今度は文章から自分で不等式を作って、不等式を計算によって解かせる。

 

例題1

ABの2人が魚釣りに行き、A26匹、B8匹釣った。Aが釣った魚を何匹かBにあげた。Aの魚がBの魚の2倍より多くなるようにしたい。ABに何匹あげることができるか。

 

ABx匹魚をあげると考える。

A26匹からBx匹あげるから、

         (26x)

B8匹とさらにAからx匹もらうから、

         (8x)

となる。また、Aの方がBより2倍より多くなるようにするので、Bのほうを2倍してあげると、

    (Aの魚)(Bの魚)×2

という式を作ればよい。

    26x(8x)×2

この式を解くと、

        x103  

という解が求まる。

これより答えは103より小さい数…

と考えるのではなく、魚は分数で数えることはできないから、x103を数直線で表すと、

     0         3 10/3  4

──────────┼────

さらに魚の数はマイナスにならないし、魚をあげると仮定してあるので0も省かれる。このためxは自然数と考えるので、答えは、1匹、2匹、3匹のいずれかである。

 

問題1

ある自然数の4倍に3を足した数は、もとの数を7倍して6を引いた数より大きくなる。もとの数を求めなさい。

 

例題2

深さ20mの井戸の底にカタツムリがいる。このカタツムリは1日に4m上がった後、2m下がる。カタツムリが井戸から出るのは何日目か。

 

8日経った時点では、

(42)m×8=16m

で、カタツムリは井戸の底から16mの所にいる。次の日に4m上がった時点で深さ20mの井戸からでられるため、答えは9日目となる。

カタツムリの様子を表にしてみる。

 

1日目

2日目

動き(m)

4

2

4

2

 

高さ(m)

4

2

6

4

 

 

 

8日目

9日目

動き(m)

 

4

2

4

高さ(m)

 

18

16

20(出た)

 

これ不等式使って表すことを考えてみる。

まず、x日目に井戸からでるとする。

1日に上昇する高さは、4m上がって2m下がるのだから、

(42)m

次に、井戸から出る前日までの日数

            (x1)

よって、その積の

        (42)m×(x1)

は、前日までにどれだけ上昇したのかを表す。さらに、井戸から出る当日にははじめに4m上昇するから、4を加えると、

(42)×(x1)4

となり、カタツムリが井戸を出るまでの距離になる。これが、井戸の深さの20m以上になったとき、カタツムリは井戸から出ることができる。

実際に不等式を作り解いてみる。

(42)(x1)420

         2(x1)420

            2(x1)16

x18

   x9

したがって、9日以上たてばカタツムリは井戸から出ることができる。

つまり答えは、9日目。

もし、1日に上昇する高さ(2m)だけに注目してしまうと、

   (42)20

         2x10

          x10

となり、10日にならないとカタツムリは外に出られないことになってしまう。

なので、この場合は、前日までにどれだけ上昇したかを考えなくてはいけない。

 

※上の例題から、カタツムリが井戸から出る、という場面で扱う不等式文字使って表すと、次のようになる。

 

井戸の深さをym、カタツムリが1日に上下する距離をそれぞれambmとし、x日目に井戸に出るという条件から

    (ab)(x1)ay

という不等式ができる。

 

問題2

深さ20mの井戸の底にカタツムリがいる。このカタツムリは1日に6m上がった後、4m下がる。カタツムリが井戸から出るのは何日目か。また、上のような表も作れ。

○文章から問題の意味を読み取り、大小関係を把握した後、実際に自分で不等式を作ってみる。

○求めたい数をxと置くことが重要。

ABのどちらを2倍したらよいかを文章からきとんと読み取れるかがポイント。

○文章から不等式を完成させてといた後、答えが分数になってしまうのがこの例題のひっかけである。

○魚を数えることができる自然数で答えを導くことができるか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

○ひっかけ問題を使って、さらに不等式の発展問題に挑戦してみる。

20m÷(42)

で答えは10日と答える生徒がでることが予測される。

○なぜ違うのか表を使って解説し、10では間違いであることを理解させる。

 

 

課題

20

 

 

 

 

 

 

いろいろな文章問題を解く。

問題3

容器Aには33kg、容器Bには7kgの米が入っている。AからBへ米を何kgか移動して、Aの米の量をBの量の3倍以上にするには、AからBへどれだけ移せばよいか。

 

問題4

A地から12km離れたB地まで行くのに、はじめは上り道で毎時3km、途中から下り道で毎時5kmの速さで歩いた。所要時間が3時間以内であるとき、上りの道は何kmか。

 

○実際にたくさんの文章問題に触れることで、文章から不等式をつくり、答えを導く方法をマスターする。

○少し難しい問題かもしれないので、ヒントを与えながらも、自ら答えを導かせる。

まとめ

2

 

 

 

○文章を読みながら文にそって不等式を作る。

○解がでたら、問題文をもう一度読み直して、求めるべく答えを正確に出す。

○文章の読解力も重要である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本指導案作成の経緯

この指導案は、森川幾太郎編著『あなどる数学 数量編』で取り上げたいくつかの学習課題から、2〜3のテーマを選び、中学校2学年あるいは3学年で実施されている選択での実施を前提にして組んだものです。

指導案作成は私たち2名が共同で行いましたが、その作成にあたって考えたこと、二人で話し合ったことを次のように簡単にまとめてみました。 

 

この指導案は前半二時間の導入部分と後半三時間の展開部分との二つに分けて、二人で分担して作成した。その過程で必要な二人に共通の部分について話し合いをし、作成後お互いの指導案について指摘をした。その様子も記すことにした。

 

まず、目標について考えた。不等式は、日常の中でも頻繁に登場するものなので、正確に生徒に身に付けさせておきたい。不等式という単元を、全く新しい単元として生徒に教えるのではなく、既習の方程式と関連付けて進め、いかに抵抗を少なくすることが出来るかを考えて、授業を進めていきたいと思った。また不等式には等式にない性質が存在する。今回の授業ではその性質をきちんとおさえておきたいと思った。そこで、特に重要となる『負の数』に焦点を当てた。そして不等式の計算は、方程式のときと同様に、計算する力がとても重要になってくるので、不等式の形質的な解法をより正確に把握させるべきだと考えた。そこで、身近な例を挙げて文章問題を解く力を身につけさせることを中心に授業展開をしたいと思った。これらから始めに示した4つの目標を挙げてみた。

次に、指導するにあたって、不等式という単元の興味を引くような教材をいくつか考えた。そこで、表や数直線を使った授業はどうだろうかと言う意見が出た。進める順番としては、前半は不等式の導入をわかりやすく表すために表を多く取り入れ、後半は不等式の計算結果を具体的に数直線で表して理解させよう、といった授業内容にした。また、チョコやガムといった生徒たちが好きなものを題材にした問題文を作成したり、ペイントを使用して絵を描き、視覚的に訴える問題を作成したりした。しかし、このような教材を用いてもつまずいてしまう生徒がいるかもしれないと考えた。例えば、問題文から式を立てることが出来なくて困惑してしまう、計算の途中で不等号の向きが変わってしまう、といったところで疑問を持ってしまう生徒が現れるのではないかと思った。そのような生徒に対してはどのように指導していったらよいか話し合った。まずは、『なぜ?』という気持ちを起こさせるような問題提議をしてはどうかという案を出した。疑問をもつことはとても大切なことであり、その疑問を解いていくことで理解が深まるのではないかと考えた。そこで実際、様々な例題や問題を指導案に盛り込み、生徒たちに解かせることにした。

そこで次に、学習計画を立てることにした。表を中心にして考え解を求める前半と、数直線から性質を導き、その性質を使った計算を中心にして解を求める後半とに分けて、分担して指導案を作成することにした。作成する過程で、メールでお互いの進度について確認しあったり、内容について相談しあったりした。そして作成したお互いの指導案を見て、各時間の大まかなテーマについて、二人で話し合って決めた。

さらに、本時の学習の内容についても、お互いに良い点と悪い点について、指摘しあった。まずは、前半の内容について指摘しあった。例題では表を使用して、生徒たちの興味をひかせ、解説を多くすることによって、わかりやすく教えたらどうかと指摘した。そこで、例題の説明をより詳しくし、逆に問題の解説を少し減らし、生徒により多くのことを考えさせるよう改善した。また、絵は、色を使ってわかりやすく描かれていて、生徒の興味をひく題材となったのではないかと思った。さらに、指導するにあたっての留意点は、授業の進め方にそって書くようにしてある。『ノートを一行あけておく』という部分は、ノートを写す生徒の気持ちを考えた細かい考慮と、生徒の気持ちをきちんと考えていることが伝わった。最後に宿題を出すことで、きちんと復習ができるように配慮されていたのではないかと思った。2時間目の『馬券の配当金』については、競馬に詳しくない中学生に対しては、少し難しい題材ではないかと指摘した。馬券の枚数で配当金の金額が変化し、損得が変わってくるというのは不等式と関係ないのではないかとも思った。しかし、思わぬところで関係していて、とても興味のある内容だった。そこで、中学生でも理解しやすいような例題になるよう一緒に直し、生徒たちに考えてもらうような問題も考えてみることにした。実際に計算して解くとなると、中学生には少し大変な計算になるのではないかと心配した。そこで、少し桁の多い問題には電卓を用いるのはどうかと提案してみた。電卓といういつもと違う計算道具を持ってくるというのは、生徒にとって興味をひくことでもある。このように、退屈させない授業の工夫がされていると思った。

 次に後半の内容について話し合った。後半の内容は、前半の内容と比べると計算が多くなっている。不等式の計算をする前には、まず、不等式の性質が必要となってくる。ただ単に性質だけを生徒に教え込むのではなく、実際の数字を使って四則計算をし、その結果を使って一般的な性質を導くような工夫がされていた。一般化することによって、後にノートを見返したときにすぐに思い出せると感じた。数直線を用いてその大小関係を比較し、<と≦の違いを示していて、わかりやすく表現されていた。しかし、特に負の数を掛けたり割ったりするところは、生徒が理解に苦しむだろうと感じた。不等号の向きが変わるということにもっと重点を置き、時間をたくさんとるべきだろうと指摘した。そこで負の数を使用した問題を増やすことにした。また、3時間目の展開が、講義になっているように思えるので、もう少し生徒に考えさせる時間を持ってはどうかということになった。説明の最中に生徒に考える時間や答えさせる時間を取り入れてみようということになった。性質の後は計算問題ばかりなので、問題を解いていて時間が足りないのではないかと指摘した。そこで、もし問題を全て解く時間がなかったら、宿題にまわすのはどうかという案が出た。やはり計算は繰り返しが必要なので、復習をかねて多く解かせることが必要だということになった。5時間目の課題はかなり難しくなっているので、もう少し時間を取って簡単な文章問題から徐々に難易度を上げていってはどうかという指摘した。それを受け、簡単な問題からスタートし、徐々に難しい問題に移るような問題構成にするよう配慮した。また、前半にあった生徒の興味をひくような図や絵が、あったほうがよいのではないかという指摘があった。確かに、図や絵がほしいけれど、指導案に全ての絵を載せることは難しいと考え、実際の授業では絵を板書するという前提で進めることにした。カタツムリの問題は、クイズとしても成り立つような問題なので、生徒の興味を引くのではないかということになった。しかし、この問題は表がないと理解に苦しむだろうということになり、表を加えてわかりやすくした。5時間目の問題2では、公式に当てはめて解を求めれば終わってしまうので、発展として図や表を書かせてみてはどうだろうかということになり、追加することにした。

 

 授業を受ける生徒を第一に考え、どのような授業にしたら生徒たちが理解できるかを試行錯誤して考えた。二人で分担するところは効率よく分担して考え、それらをまとめるところは一緒に考え、意見を出し合い、指摘し合った。不等式という単元を1つ教えるのに、これほど多くの時間を要し、読解力が求められることを知り、基礎だからといって省かずに丁寧に指導していかなくてはならないと感じた。

 

 


愛知みんなの会より

みなさんの町・学校・団体・研究会の集まりのなかで、「ゲーム手づくりあそび講習会」を企画してみませんか。
愛知みんなの会では、実費交通費+アルファをご負担いただければ講師を派遣致します。
詳細の問い合わせは「みんなの会事務局」(「民間の教育団体一覧」をご覧ください)

第43回(2004年度)「五山賞」受賞作品決定

五山賞とは、教育紙芝居の産みの親、高橋後山の業績を記念して設けられました。
毎年(4月から翌年3月)出版された紙芝居の中から優秀作品に授与されます。

第43回五山賞
『てつだいねこ』 脚本・水谷省三 絵・大和田美鈴
第43回五山賞特別賞
『とまがしま』の絵に対して 絵・田島征三 (脚本・桂 文我)
第43回五山賞奨励賞(絵画賞)
『うぐいすのホー』の絵に対して 絵・松成真理子 (脚本・杉浦 宏)

五山賞審査委員会より
子どもの文化研究所内
03(3951)0151(担当:鈴木)

トップページに戻る